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寄稿コラム

2021.08.31

1人1台の学習者用コンピュータで実現できること

目次

「GIGAスクール構想と学びの姿」

令和元年12月13日の閣議決定に盛り込まれた「GIGAスクール構想」は、2年足らずの間に一気に加速。令和3年7月現在、全国の小中学校で「学習者用コンピュータ1人1台」の整備が現実のものとなり、その余波は高等学校に拡大しています。

GIGAスクール構想は「児童生徒1人1台の環境整備」で終わりではありません。その目的は、「小中学校、特別支援学校における児童生徒1人1台の学習者用コンピュータや高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育環境を実現する」とされています。特に「資質・能力が一層確実に育成できる教育環境」であるという認識を、教育関係者はもちろんのこと教育ICT関連の企業なども共有し、連携しながら「新たな学び」を探究し続けようとする姿勢が求められています。

文部科学省が公開している「学習者用コンピュータ標準仕様書」には、各自治体で整備内容を検討する際に「新学習指導要領におけるICTを活用した学習活動を具体的に想定すること。」と記されていました。「具体的に想定」することができた教育委員会や学校では、学習活動、児童集会、生徒会活動など様々な場面で、クラウド環境や学習ツールが日常的に活用されていると思います。持ち帰りやオンライン授業も進めているなら、従来とは質が異なる学びの姿が生まれていることでしょう。一方で、「具体的に想定」することに苦心している場合は、ICT活用の期待よりも、機器の故障やインターネット利用でのトラブルなどマイナス面の心配が勝ってしまい、慎重過ぎる姿勢が解けずにいるかもしれません。

「ICTを活用した学習活動」の具体的な姿については、文部科学省が公開している「各教科等の指導におけるICTの効果的な活用に関する参考資料」(※1)や、「StuDX Style(スタディーエックス スタイル)」(※2) に掲載されいる情報が役に立ちます。積極的な活用を奨励している地域からの情報発信なども大いに参考になるでしょう。

その他、この記事を掲載してもらっている教育ICT関連企業のWebサイトなどからも、新しい学びの姿を描くヒントを得ることができます。情報収集の感度を上げて、先生や子どもたちをサポートしていきましょう。

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SDGsについて発表する資料を共同編集する児童

「1人1台の学習者用コンピュータで実現できること」


筆者は、小中学生向けのICTスクールを運営しています。iPad、Windows ® PC、Chromebook ™に加えMacを常備し、必要なOSや筐体やソフトを子どもたちが使い分けられる環境で、ICT活用を通した思考力・判断力・表現力の育成に取り組んでいます。その基盤は「確かなICTリテラシー(ICT活用に関する基礎的な知識・技能と、その流暢な活用)」です。特にタイピングなどの文字入力スキルの向上は、児童の自信にもつながります。習得したスキルを活用し表現する機会を提供することで、プレゼンテーション、ポスター発表、動画作成、プログラミング作品づくりなど、多様な表現活動を体験することができます。指導者が、子どもたちが試行錯誤のプロセスで発生している学びや育ちの姿を見つけ、質の高いフィードバック行うことができると、豊かな情報活用能力が涵養されますし、教科の学びにも有効に機能することでしょう。その結果、大人以上のICTスキルを身につけ、一般部門のコンクールで入賞する児童も出ています。

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「1人1台環境での学びの姿」には、「大人が知らない姿」「大人自身が経験したことがない姿」が含まれています。低学年からICTリテラシーを身につけた子どもたちは、タイピングスキルでも1分間に150-200文字程度打てるようになりますし、クラウド上での共同編集、動画の撮影・編集なども、大人と同様のツールを使いこなすようになります。関心が高いプロジェクトでは、時間を忘れ、場所も問わず、夢中になって取り組みます。子どもたちの主体的な学びが、驚くほどの勢いで加速します。知識・技能とその活用が掛け算となって増幅します。

この時に、学びの加速にブレーキをかけようとするものがあるとしたら、それは「未経験な大人の旧来の価値観」です。

私たち大人は、我流でPCやソフトウェアの操作を身につけたケースが多く、体系的な習得によってスキルが加速度的に向上した経験が乏しい面があります。業務上のICT活用はできても、表現や創作的などのICT活用になると自信がない人も少なくないでしょう。コンピュータによる学習によって紙の時代よりも成果が上がった経験や、オンラインベースで新しいプロジェクトを完了させた経験などは十分でしょうか?もし、コンピュータを使うことは遊びのようで学習ではない、という価値観を持っているとしたら、今すぐ捨てた方が良いかもしれません。

子どもたちが、豊かなICT活用を積み重ね学びを加速させていくと、大人を軽々と超えていきます。私たち大人が「知らない・経験がない」ことで、子どもたちの豊かな学びの機会にブレーキをかけることがないように、このコラムを通して、大人側に必要なICTの知識や技能、学習デザイン、気をつけるポイント、などを紹介する予定です。

子どもたちの資質・能力を信じて、GIGAスクール構想の実現を目指して、共に歩んでいきましょう。

株式会社NEL&M 教育情報化コーディネータ1級 田中康平

※1「各教科等の指導におけるICTの効果的な活用に関する参考資料」 令和2年9月 文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/mext_00915.html

※2 「StuDX Style(スタディーエックス スタイル)」文部科学省
https://www.mext.go.jp/studxstyle/

※本資料に掲載のその他の会社名および製品名、ロゴマークは各社の商号、商標または登録商標です。

筆者

株式会社NEL&M(ネル・アンド・エム) 代表取締役/ICTスクールNEL 校長 田中 康平 氏

・教育情報化コーディネータ 1級(2018年認定 ※国内5人目)
【委員等】
・国立教育政策研究所「全国学力・学習状況調査のCBT化に向けた試行・検証のためのCBT問題開発に係る調査研究検討委員」(2021年度)
・経済産業省「未来の教室実証事業」教育コーチ(2018~2019年度:麹町中学校担当)
・佐賀県教育委員会 ICT利活用教育推進に関する事業改善検討委員(2015~2019年度)

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