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寄稿コラム

2021.12.08

GIGAスクール構想の推進力をアップさせるサポート役 ~ICT支援員・教育情報化コーディネータ(ITCE)など外部人材の役割~ 

目次

GIGAスクール構想により、1人1台の学習者用コンピュータを中心としたICT環境が整備され、各学校での効果的な活用が期待されています。
しかしながら、多岐に渡り高度化したシステムや大量のPCなどの機器のケアも必要となり、学校の先生だけで対応することは困難。学校専用の製品も多く、操作方法の習得に時間が必要であったり、特有のノウハウが求められるなど、多くの課題が存在しているのが実情です。
こうした課題の解決を促すためには、教育委員会事務局内部の組織や人材による対応に加えて、専門的な技術や知見を持った「外部人材」の力を借りることが有効でしょう。
今回は、教育ICTに関わる人や組織、「外部人材」の役割(※1、※2)について整理したいと思います。

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「教育CIO(Chief Information Officer)」とは


教育CIO(Chief Information Officer)は地域の「教育の情報化」に関するビジョンを定め、実現を推進する全体のリーダーであり、計画的・組織的な施策の統括責任者。

教育CIOの役割(例)  ・「教育の情報化ビジョン」の策定
 ・教育ICT環境の整備(校務系、学習系のICT環境整備計画・調達・運用など全般を管理)
 ・ICTを活用した授業改善などより良い教育活動の推進
 ・リスクマネジメント(教育情報セキュリティポリシーの策定、監査、啓発、インシデント対応など)
 ・学校や地域住民への情報発信
 ・人材の育成(教職員の研修など)

「教育CIO補佐官」 とは

教育CIO補佐官とは、教育CIOが掲げる「教育の情報化のビジョン」に基づく施策の具体的な計画や方法を整理し、実行を補佐する人材。
ICTを活用した教育活動に加えて、ICT機器の整備、システム構築などに関する経験や知見も必要とされる。

教育CIO補佐官の役割(例)

 ・「教育の情報化ビジョン」を実現するための各施策の検討
 ・ICT環境整備などの中長期計画の策定、予算化、要件定義(仕様案作成含む)などの補佐
 ・リスクマネジメントの補佐
 ・広報計画の策定、広報施策の補佐
 ・教員の研修計画の策定、実施の補佐
 
「教育CIO」を設置(教育長が兼任するなど)している自治体は多いと思いますが、「教育CIO補佐官」を設置している自治体は稀です。配置が進まない理由に「適当な人材が存在しない」ということが考えられます。
指導主事など学校教育に関する専門的な知見を持った人材が、ICTに関する専門性を兼ね備えていれば良いのですが、クラウド、デジタル教科書、CBTなど、年々進展する教育ICT環境に対応できる人材を内部で確保することは、現実的には難しいでしょう。
「教育CIO補佐官」を「外部人材」に委嘱したり雇用することについて、検討が必要な時代になったのだと思います。「外部人材」に必要な能力を評価するポイントとしては「専門資格」の有無が挙げられます。
その代表的なものは、教育ICTに関する総合的な知見が審査される唯一の資格「教育情報化コーディネータ」(※3)です。

「教育情報化コーディネーター(ITCE:Information Technology Coordinator for Education)」とは

ICT機器、情報通信ネットワーク、ソフトウェア、校務支援システム、情報セキュリテイなどに加え、教育関係法令、教育委員会および学校組織、児童生徒への対応、学習評価、など学校教育に関する幅広い知識と実務経験と有し、教育委員会、学校、メーカー等の関係者の間に立ち、必要な対応に関する助言を行なったり、調整役として活動できる人材。
ITCEの試験は、3級認定→2級1次(準2級認定)→2級2次(2級認定)→1級認定とレベルアップしていきます。2級の2次試験では、GIGAスクール構想のような教育ICT整備に必要な機器・システムの構成や予算案を策定し、予算担当部署へプレゼンテーションする能力等が審査されます。
関連の実務経験がなければ難しい内容ですので、ITCE2級以上を取得している人材であれば「教育CIO補佐官に求められる能力を有している」と考えてよいでしょう。

その他の「外部人材」として、学校で先生や児童生徒のICT活用を直接的に支援する「ICT支援員」の配置も有効です。

「ICT支援員」とは

先生や児童生徒がICT機器やソフトウェアなどを活用する場面で、操作や操作スキルの習得を支援したり、ICT機器の簡易なメンテナンスなどを行う人材。

ICT支援員の役割(例)


 ・ICT機器やソフトウェアの簡易や設定や操作、その方法の説明
 ・ICT機器やソフトウェアや教材などの紹介、活用方法の助言
 ・情報モラルに関する教材や事例などの紹介、助言
 ・ICTを活用した教材作成などの支援
 ・ICT機器などの簡易なメンテナンス
 
「教育CIO補佐官」や「ICT支援員」など、専門的な能力によって、教育ICTに関する課題解決を期待する「外部人材」を配置するためには「予算の確保」も重要です。
ICT機器の購入とは違い、スケールメリットを生かして安価にする、といった手法は馴染難く、人件費を抑えていくと、登用できる人材の能力はそれに比例するため、注意が必要です。
また、「ICT支援員」の業務全体を「委託」する場合は、委託する事業者のマネジメントの要件やICT支援員の研修体制なども明記することが望ましいでしょう。
単なる中抜きの人材ビジネスに陥ってしまっては、先生や児童生徒のプラスにならないどころか課題を増してしまう可能性が高まります。
学校のICT活用を支えるために、どのような人材・人物に関わって欲しいのか?という視点から検討することも大切です。
財源としては、GIGAスクールサポーター(※3)に関する補助の活用など、国の支援を有効利用することも含めて、戦略的に検討してみてはいかがでしょうか。

GIGAスクール構想で整備されたICT環境が効果的に活用され、新学習指導要領に対応した豊かな学びが展開されるためには、いつでも軽快に動作するPCやネットワークが維持されていることや、有効な活用方法を地域内で共有し、他校に実践を広げていくことが不可欠です。
これらを支える「人材」についても目を向けてもらえると、確実な成果が期待できるでしょう。

※1 「『教育の情報化に関する手引き』について」(文部科学省)
※2 「学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会」(文部科学省)
※3 「教育情報化コーディネータ検定試験公式サイト」(特定非営利活動法人 情報ネットワーク教育活用研究協議会)
※4 「GIGAスクールサポーターについて」(文部科学省)

◆編集部追記:2021年12月10日(金)開催予定のウェビナー「【GIGAスクール】学習効果を高めるICT活用のポイント 学習活動における効果的なICT活用のポイントと研修用動画コンテンツ活用へのヒント」につきまして、田中氏に講師としてご登壇頂きます。ぜひご参加ください。詳細はこちらのページをご参照下さい。

※本資料に掲載のその他の会社名および製品名、ロゴマークは各社の商号、商標または登録商標です。

筆者

株式会社NEL&M(ネル・アンド・エム) 代表取締役/ICTスクールNEL 校長 田中 康平 氏

・教育情報化コーディネータ 1級(2018年認定 ※国内5人目)
【委員等】
・国立教育政策研究所「全国学力・学習状況調査のCBT化に向けた試行・検証のためのCBT問題開発に係る調査研究検討委員」(2021年度)
・経済産業省「未来の教室実証事業」教育コーチ(2018~2019年度:麹町中学校担当)
・佐賀県教育委員会 ICT利活用教育推進に関する事業改善検討委員(2015~2019年度)

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