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寄稿コラム

2021.12.22

新学習指導要領とコンピュータのある学び ~様々な教科の学びに散りばめられた、コンピュータの活用と情報活用能力の育成~

目次

小学校では令和2年度(2020年度)、中学校では令和3年度(2021年度)、高等学校では令和4年度から全面実施となる新学習指導要領。(※1)資質・能力の三つの柱「実際の社会や生活で生きて働く『知識及び技能』」「未知の状況にも対応できる『思考力、判断力、表現力』など」「学んだことを人生や社会に生かそうとする『学びに向かう力、人間性』など」、これらを育むための「主体的・対話的で深い学びに向けた授業改善」とともに、学習の基盤となる資質能力として「言語能力」「問題発見・解決能力等」に加えて「情報活用能力(情報モラルを含む)」が示されました。
「情報活用能力」とは、「世の中の様々な事象を情報とその結び付きとして捉えて把握し、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力」(※2)と定義されており、三つの柱によって捉えていく(評価していく)ことが求められています。(※3)

情報活用能力を育む→GIGAスクール構想で整備されたICT環境を活用する

新学習指導要領の「総則」には、「情報活用能力」を育むために、「各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。 」と書かれています。
GIGAスクール構想は、新学習指導要領の全面実施のタイミングに応じた形で展開され、その実現を強力に後押ししています。
今後は、各教科の特質に応じて、様々な学習活動の中でICT環境を効果的に活用しながら「情報活用能力」を育む段階に入っていくことになるでしょう。

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特別な学習活動ではなくなった「コンピュータの活用」

新学習指導要領の各教科に関する内容には、「情報活用能力」の育成に関わる内容が至る所に示されています。(文末に列記)
これらを手がかり、教科の特質に応じた見方・考え方を働かせながら、三つの柱の資質・能力が豊かに育まれるように、学習活動をデザインし、三つの柱によって捉えていく(評価していく)ことが大切です。
代表的な例として、小学校での「プログラミング教育」が挙げられます。ここでは「コンピュータを用いたプログラミングの体験」が求められており、算数や理科や総合的な学習の時間など、様々な場面で取り扱うこと、とされています。
アンプラグド(コンピュータを用いない活動)だけでカバーできるものではなく、1人1台の学習者用コンピュータを活用した体験的な学びによって知識・技能を習得し、思考力・判断力・表現力を発揮する機会を提供し、協働学習のような場面や生活や社会課題との関連などを意識しながら、学びに向かう人間性を涵養すること、それらを三つの柱から捉えていくこと(評価していくこと)、という学びのデザインが重要になります。
「コンピュータや情報通信ネットワークの適切な活用」という部分は、全ての教科に関連する形で書かれています。
ICTが得意な先生や、ICTが関係しやすい特定の教科や特別な学習活動に限定した取り組みではなく、「コンピュータのある学び」がどの教科でも、どの学級でも日常的に展開されている。
これこそが「新学習指導要領とGIGAスクール構想の学びの姿」と言えるのではないでしょうか。

教科の特質に応じた効果的な活用方法を探究し、共有しましょう。

先ずは「コンピュータや情報通信ネットワーク」を様々な場面で活用する。そこからスタートした学校も多いと思います。
活用に慣れてきたら、三つの柱による捉え(評価)を意識して、教科の特質に応じた効果的な活用方法を探究していきましょう。
その中で、良いものは残し、発展させる。効果が見られなければ別の方法を検討する。そして、良い方法は、学年や学校や地域全体で共有する。
急には進まなくとも、徐々にステップアップしながら「新学習指導要領とコンピュータのある学び」が定着し、より良い形で発展し続けることを願っています。

「小学校学習指導要領」で示されている「情報活用能力」に関する主な内容

※中学校、高等学校も、小学校同様に各教科の学習に関連してコンピュータや情報通信ネットワークの活用に関して示されています。

総則
各教科等の特質に応じて、次の学習活動を計画的に実施すること。
ア「児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動」
イ「児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」

国語
第3学年におけるローマ字の指導に当たっては、(中略)コンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得(後略)児童がコンピュータや情報通信ネットワークを積極的に活用する機会を設けるなどして、指導の効果を高めるよう工夫すること。

社会
学校図書館や公共図書館、コンピュータなどを活用して、情報の収集やまとめなどを行うようにすること。

算数
数量や図形についての感覚を豊かにしたり、表やグラフを用いて表現する力を高めたりするなどのため、必要な場面においてコンピュータなどを適切に活用すること。
プログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には、(中略)例えば〔第 5学年〕の「B図形」の(1)における正多角形の作図を行う学習に関連して、正確な繰り返し作業を行う必要があり、更に一部を変えることでいろ いろな正多角形を同様に考えることができる場面などで取り扱うこと。

理科
観察、実験などの指導に当たっては、指導内容に応じてコンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用できるようにすること。
プログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には、(中略)例えば〔第6学年〕の「A物質・エネル ギー」の(4)における電気の性質や働きを利用した道具があることを捉える学習など、与えた条件に応じて動作していることを考察し、更に条件を変えることにより、動作が変化することについて考える場面で取り扱うものとする。

生活
学習活動を行うに当たっては、コンピュータなどの情報機器について、その特質を踏まえ、児童の発達の段階や特性及び生活科の特質などに応じて適切に活用するようにすること。

音楽
児童が様々な感覚を働かせて音楽への理解を深めたり、主体的に学習 に取り組んだりすることができるようにするため、コンピュータや教育機器を効果的に活用できるよう指導を工夫すること。

図画工作
コンピュータ、カメラなどの情報機器を利用することについては、表現や鑑賞の活動で使う用具の一つとして扱うとともに、必要性を十分に検討して利用すること。

家庭
コンピュータや情報通信ネットワークを積極的に活用して、実習等における情報の収集・整理や、実践結果の発表などを行うことができるように工夫すること。

体育
コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用し、各領域の特質に応じた学習活動を行うことができるように工夫すること。その際、情報機器の基本的な操作についても、内容に応じて取り扱うこと。

外国語・外国語活動
児童が身に付けるべき資質・能力や児童の実態,教材の内容などに応 じて、視聴覚教材やコンピュータ、情報通信ネットワーク、教育機器などを有効活用し、児童の興味・関心をより高め、指導の効率化や言語活 動の更なる充実を図るようにすること

総合的な学習の時間
探究的な学習の過程においては、コンピュータや情報通信ネットワーク などを適切かつ効果的に活用して、情報を収集・整理・発信するなどの学習活動が行われるよう工夫すること。その際、コンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得し、情報や情報手段を主体的に選択し活用できるよう配慮すること。


※1 「新しい学習指導要領」(文部科学省)
※2「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)(中教審第197号)」(文部科学省)
※3「『教育の情報化に関する手引き』について」(文部科学省)

※本資料に掲載のその他の会社名および製品名、ロゴマークは各社の商号、商標または登録商標です。

筆者

株式会社NEL&M(ネル・アンド・エム) 代表取締役/ICTスクールNEL 校長 田中 康平 氏

・教育情報化コーディネータ 1級(2018年認定 ※国内5人目)
【委員等】
・国立教育政策研究所「全国学力・学習状況調査のCBT化に向けた試行・検証のためのCBT問題開発に係る調査研究検討委員」(2021年度)
・経済産業省「未来の教室実証事業」教育コーチ(2018~2019年度:麹町中学校担当)
・佐賀県教育委員会 ICT利活用教育推進に関する事業改善検討委員(2015~2019年度)

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