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寄稿コラム

2022.02.03

教育DXが導く新たな学びの姿とは

目次

1.教育DXとイノベーション

変化が激しい社会では、先端技術や課題解決に対応できる能力が求められています。各省庁の調査結果では、将来的にIT人材が不足するとされ、IT関連のビジネスは今後更に拡大していくと予想されています。
特に、AIやIoT等の先端技術に関連する人材である「先端IT人材」に対する需要は急速に高まっています。まさに、科学技術イノベーション活動を担う人材の育成は喫緊の課題といえます。

さて、教育現場において、デジタル・トランスフォーメーション(DX)が本当に起きるのでしょうかStoltermanFors2004)は、新たなテクノロジーによって生活がより豊かなものへと変革する「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」を提唱しました。このDXは、これまでの価値や枠組を根底から覆すものであり、個人レベルではなく、関わる組織や社会全体にも影響を与える概念といえます。
そして、このDXが人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるものとされており、学校現場でも教育観や授業観の転換につながることが期待されます。

学校現場のICT環境整備から始めるDXが必要であり、文部科学省のGIGAスクール構想は、11台の情報端末、高速なネットワーク環境等を提供して、いつでも身近にある学習の道具としてのICT活用を実現しようとしています。

GIGAスクール構想のように、学習環境が大きく変化することによって、教師が教えて子供が受動的に学ぶ受動的な学びでなく、児童生徒が自ら問題を見つけ、その問題を解決しようとする創造的な学習の展開が期待できます。
このように、生活や産業界だけでなく、学校教育にもDXが変化を与えることが考えられます。

2.SAMRモデル

11台端末環境が整備され、学校現場でのICT活用のレベルはどのように変わったのでしょうか。ICT活用のレベルを表現するモデルとして、SAMRモデルが取り上げられます。このSAMRモデルは、Puentedura(2010)が考案した、学校現場における ICT 活用レベルを示すモデルです。
4段階として、「Substitution(代替)」「Augmentation(拡大)」「Modification(変容)」「Redefinition(再定義)」の頭文字を集めて、SAMRモデルとされています。このモデルでは、ICT 環境ごとにどのような学習が可能になるかを4つのタイプで示しています。
「Substitution(代替)」では、従来のツールの代用として用いるレベルを指します。次に、「Augmentation(拡大)」では、従来ツールの代替に新たな機能が加わります。さらに、「Modification(変容)」では、授業実践そのものが変化していくことを指します。それは、例えば、教師主導の授業から子供中心の授業への転換です。
そして、「Redefinition(再定義)」では、教師や保護者等の学力観が大きく変化して、新たな実践スタイルが生まれていくことを指します。

参考:Ruben R. Puentedura(2010) Transformation, Technology, and Education

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3.授業のICT活用と教師の働き方改革


教育DXを考えるとき、授業でICTを活用することだけでなく、教師の働き方改革や効率的な学校運営に注目することが重要です。
学校でDXを進めるには、校長等の管理職がリーダーシップを発揮して、学校全体で推進していくことが前提となります。特に、リーダーが周囲に積極的に働きかける「サーバントリーダー」として活躍することが期待されます。
サーバントリーダー
として、活躍する校長の例を紹介します。

福岡市立百道浜小学校酒井美佐緒校長は、クラウドサービスを用いて、児童全員に直接アンケートを答えてもらうようにしています。
例えば、年度末の振り返りでは、一年間、挨拶がきちんとできていたかを回答させました。酒井校長がクラウドを通じて出した問いに対して、子どもたちは発想豊かに答えてくれています。
アンケートの結果は、校長自らが集計してグラフ化して、毎月1回実施される全校集会において、酒井校長がプレゼンテーションで子供たちに報告しています。その集会も、当然オンラインで実施されています。
校長自らが情報端末を積極的に活用する姿から、子どもたちも担任教師も積極的な活用に向かうだけでなく、教頭や担任教師の事務負担が大きく減ることにもつながっています。

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福岡市立百道浜小学校での端末を使って実施されたアンケート

百道浜小学校の事例でもわかるように、単なるペーパレスが進むだけでなく、教師の仕事や学校で分担する校務自体も変わっていくようになります。
1人1台端末環境が充実していけば、授業担当者は画面上で子供たちの考え等を確かめるようになり、教室の中で子供の机を巡回する「机間指導」といったスタイルも変わってくると思います。
ただ、子どもの学びをどう捉えるか、学びを教師が見取ること、それは変わらないところといえるでしょう。


※本記事に掲載のその他の会社名および製品名、マークは各社の商号、商標または登録商標です。

筆者

中村学園大学 山本朋弘 教授

中村学園大学教育学部教授博士(情報科学)
日本教育工学協会(JAET) 副会⻑)
東北大学大学院情報科学研究科早期修了(学位取得)
熊本大学教育学部卒業
東京工業大学大学院内地留学
岐⾩大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)
⿅児島大学教育学部附属教育実践総合センター講師
⿅児島大学大学院教育学研究科准教授を経て、現職。
ICTを活用した主体的、対話的な深い学びを促す学習指導の工夫を研究

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