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事例

2022.12.21

生徒数の少ない学校が点在している環境だからこそ、ICTが大きな価値を発揮する【岐阜県恵那市教育委員会】

目次

<Before>
生徒数の少ない学校にも、多様な考え方にふれる機会を

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岐阜県恵那市の人口は4万8000人ほどで、市内には、生徒数が年々減っている学校も少なくありません。恵那南部に位置する上矢作中学校の在籍生徒数は36名、串原中学校は12名。近隣の岩邑中学校や明智中学校では、現在でこそ130名前後が在籍しているものの、数年後からは各学年で大きく生徒数が減る試算も出ています。

恵那市教育委員会の村瀬氏は、そのような中でも市が目指す子どもの学びの姿について、こう語りました。

「恵那市は広い市なので、各地域に独特の文化や街並みが残っています。南部の岩村町なら城下町を活かした町づくりをしていたり、北部の中野方町には棚田が広がっていたりと、景色ひとつとっても大きく違うのです。そこで大切にしたいのは、“子どもたちの主体的な学び”と“地域とのつながり”。ふるさと学習などをベースに、地域と連携しながら学びを深めていってほしいと考えています。実際に、地域の田植えを手伝うといった活動もあるのです」(村瀬氏)

ところが、各学校で生徒数が減るにつれ、そうした学習の充実が難しい状況も出てきました。少人数ならではのきめ細やかなサポートができる一方で、決まった人間関係の枠の中から出ることがないまま成長しがちです。その枠を広げることは、生徒が高校・社会へと進んでいく際の大切な素地になります。

子どもたちに刺激的で多様な世界を見せていきたいと力を入れたのが、ICTを活用した遠隔授業です。以前から市内では校外学習や合唱祭の合同開催などに挑戦していましたが、日々の学習に取り入れたのは初の試み。GIGAスクール構想で一人一台端末が行き届き、大型提示装置なども便利に使えるようになったことで、環境が変わってきました。人数が少ない学校と他校をつなぐことで、コミュニケーションの減少をフォローできるのです」(村瀬氏)

色鮮やかなプロジェクターで、他校との遠隔授業を充実させたい

遠隔授業を充実させていくため、恵那市では南部にある5つの中学校にプロジェクターとモニターを導入パソコン教室を活用して、臨場感や没入感を意識した遠隔交流教室という新しいスペースをつくりました。

「通常の教室にプロジェクターやモニターを入れると狭くなってしまうし、授業以外の用途にはなかなか使えません。しかし『遠隔交流教室』として別の教室を用意することで、会議や講演会といった他の用途にも、便利に活用できると考えました。ここには3つの画面があり、遠隔授業時には接続先の生徒たちを2面のモニターで見せながら、さらにもう1面のプロジェクターで黒板を映します。遠隔でともに授業を受けている生徒や先生の顔、板書された黒板を見つつ、自分たちの教室でもさらに板書を書き足せる構成です」(村瀬氏)

ベストな大型提示装置を探していたとき、見つけたのがリコーのPJ UHL5970でした。レーザー光源を採用した明るいプロジェクターで、ランプの交換といった手間もかかりません。

「さまざまな製品を調べていたのですが、このプロジェクターは明るい教室でも色鮮やかにくっきりと映せました。そこで、恵那市教育委員会ではまず一台を購入。使い勝手なども確認してから、各校での設置に踏み切りました。遠隔交流教室という位置付けの部屋をつくることはあまり前例がなかったため、岐阜県内に支社があり、詳しい仕様などを気軽に相談しやすかったのもメーカー選定の決め手でしたね」(村瀬氏)

5校のうち3校では天吊り型として設置。天井が高くて天吊りでの設置が難しい2校には、可動式の置き型を導入しました。スペースを広く使えて準備が手軽な天吊り型も、移動させて活用できる置き型も、どちらにもメリットがあるといいます。

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左:串原中の遠隔交流教室/右:山岡中の遠隔交流教室

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明智中の遠隔交流教室

<After>
遠くにいる仲間とともに学び、刺激を与えあう環境

遠隔交流教室の誕生は、恵那南部5中学校の学びを大きく変えました。そのうちの上矢作中に籍を置きつつ、5校をまわりながらへき地教育をケアしている主幹教諭の喜多川先生は、現状の活用についてこのように見ています。

「通常の授業で他校と遠隔交流をするには、教科の授業進度を合わせたり、教員同士のこまかな打ち合わせが必要になったりするため、まだハードルが高いというのが正直なところです。今年度はまず、串原中と上矢作中の学級活動での時間を活用して遠隔授業を試してみました。

地域の伝統芸能に親しむ授業で、2校が太鼓の交流をする取り組みがあるため、そのイベントに先がけてお互いのことを知る時間を設けたのです。各校の生徒たちを大画面で映しながら自己紹介をしてみました。何もせずいきなり出会って交流するよりも、事前にしっかりと打ち解ける機会がつくれたため、太鼓の交流もよりよい時間になったように感じました。

また、串原と上矢作は小学校も児童数が少ないため、そちらでもすでにZoomでの遠隔授業を取り入れています。高学年の英語では、上矢作小にいる専科の先生を串原小のモニターに映して授業を実施しました。両サイドのディスプレイには、一面に相手方の児童たち、もう一面にデジタル教科書を映しています。こうした学習を取り入れていかなければ、たった数名だけのコミュニケーションで、すべての授業が完結してしまうんですね。しかし、よその学校と繋ぐことで、生きたコミュニケーションができる。この機会を通じて、児童の感想にも『相手の学校のお友達の表現が勉強になった』などと、良い刺激を受けた様子がみられました」(喜多川先生)

そのほか、朝の会や帰りの会、生徒会活動といった意見をかわしあう場面でも、遠隔での接続が役立っているようです。生徒会は南部5つの中学校すべてを同時につなぎ、それぞれの学校で力を入れていることを発表しあって、他校の状況を知り、学びを深めました。

「恵那市が推進している“地域とのつながり”についても、秋以降は遠隔授業を取り入れていきたいと考えています。各地域の独自性がある文化を学ぶ総合的な学習で、自分たちの中学校がどんなことを調べたか、近隣の中学校では何を学んでいるか、を伝えあいながら、自分たちの特色ある活動につなげていきたい。普段は校内発表のみですが、こういった内容こそ遠隔交流教室でプレゼンテーションできるといいですよね」(喜多川先生)

ICTが貢献しているのは、子どもたちのコミュニティの拡大だけにとどまりません。規模が小さな中学校ゆえに、教科担任が各校一人ずつしかいない問題の解決にも一役買っています。各校合同での教科部会を遠隔開催することで、授業の進め方やテストの内容などについて、学校の枠を越えて相談し合えるのです。校内で専門的な相談ができる相手がいなくても、リモートでの意見交換が実現します。ベテランの教員が遠隔を用いて授業を公開し、若手が学ぶ機会も増えてきました。

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串原中でのSDGs講演会オンライン参加風景

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南部5校を繋いで実施した、上矢作中での職業講和風景(日本航空株式会社)

南部5校での活用状況をふまえて、市内全体に導入を進めていく

ICT環境が整ってきたからこそ、今後はさらなる活用を進めていきたいと、喜多川先生は意気込みを語ります。

「ある程度の事前準備が必要になってくることは避けられませんが、それでも、遠隔授業を実施して生徒たちが得るものは大きいと考えています。小さな学校の生徒たちにとって、多くの人やさまざまな意見にふれる機会はかけがえのないものです。先生方のやる気も充分ですし、そうした挑戦ができる土壌が整ってきました」(喜多川先生)

南部の5中学校でさまざまな取り組みを試した先では、恵那市全体の現場改善も待っています。どんな機器の導入や活用方法が効果的なのかをよく検証しながら、市内のほかの学校にも取り入れていく予定です。

「今後は例えば、VRといった最新技術にふれる機会も検討しています。恵那市が少しずつ歩みを進めてきたICT導入は、GIGAスクール構想によってさらに前進しました。広い市内に学校が点在し、それぞれに生徒数減少といった課題を抱えている地域柄、これからもICTは大きな価値を発揮してくれると考えています」(村瀬氏)

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