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寄稿コラム

2024.05.20

AI時代の自律した学び(Vol.3)久喜市立砂原小学校のSTEAM教育から

目次

前回までの生成型AIの話の中で、自律した学びについて触れました。
自律した学習者を育成することで、学習者にとって学びが自走できるようになり、主体的な学びが深まっていきます。しかし、学習者だけでなく、教師側にも大きなメリットが出てくるのです。
それは、学習者が学びを自走できるようになることで、教師がいちいちお膳立てをすることなく、行き過ぎた配慮が少なくなってきて、最終的には、教師の働き方改革にもつながっていくというものです。

それでは、自律した学習者を育成していくには、どのように取り組んでいけば良いのでしょうか?その問いに対応するために、今回、自律した学びに取り組んで成果が見えてきた学校の様子から考えてみます。埼玉県久喜市立砂原小学校の取組を取り上げてみます。

久喜市立砂原小学校では、STEAM化された学びの実現を目指して、3つの視点を設けて授業実践を進めています。

1.カリキュラム・マネジメントと授業改革を連動させる
総合的な学習の時間や生活科で行うプロジェクト学習を軸にして、教科等横断の視点を取り入れて授業研究を進める。

2.新しい学びを見取る評価の創造
目指す児童の具体像を明確にして、児童と教師が共通理解しながら学びを創っていく。
そして、自己評価を取り入れながら、新しい学びを見取る評価の在り方を研究する。

3.先端技術の活用
新たなテクノロジーに触れることができるSTEAMLABを構築して、学習者が新たなテクノロジーをどんどん活用できるようにする。

砂原小学校のカリキュラム・マネジメントの考え方では、資質能力ベースの繋がりを意識しながら、各教科の学びをつなげていくように配慮されています。
また、児童がひらめきを生み出す時間を確保したり、長期的な見方で教師が1年間の学びをデザインしたりするなど、時間配分をじっくり取り組めるように工夫改善していくことに主眼を置いています。

また、主体的に学習に取り組めるように、砂原小のスパイラル図を作成して、子供たちが自ら課題を持って、課題解決に挑戦していく学びを構築してきています。
このスパイラル図では、第1段階は、教師が主導して課題解決を進めていきますが、第2段階以降では、子供たちが自ら課題を設定して、その課題の解決に向かって学びを進めていくようになります。
活動の質的なレベルも、段階が上がっていくにしたがって高まっていくようにデザインされています。

例えば、4年生のテーマ学習では、地域防災を取り上げて、学びが進むにつれて、国語や社会、算数等で学習する内容と関連づけながら、学びを深めていくようにデザインされています。
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図1:砂原小スパイラル図(第4学年のテーマ学習を例に)

砂原小学校での授業改革は、教師の意識改革を明確にすることからスタートしています。
脱「教師主導の授業」、脱「正解主義」、脱「教科書に頼る学習」など、教師自身が試行錯誤しながら、最適解を導き出すプロセスを子供たちと共に歩む伴走者となるよう、教師が意識を変えていくことを大切にしています。
校長のリーダーシップのもと、全学年全学級、全教師で取り組んで、教師自身が探究的に授業づくりを愉しんでいることが印象的です。

新しい学びを見取る評価では、「ルーブリック」の作成に早くから取り組んでいて、教師用と児童用のルーブリックの作成を進めてきています。
小学校学習指導要領で示されている3観点(知識・技能、思考・判断・表現等、主体的に学習に取り組む態度)をベースとして、育成したい資質能力を具体的な内容で記述して、このルーブリックを作成しています。
毎時間の振り返りに、このルーブリックを活用して、学期ごとの振り返りにはドリカムシートを活用しています。
学期末には、自分の力がどれくらい伸びたか自己評価し、成長を可視化できるようにレーダーチャートで示しています。
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図2:ルーブリックからドリカムシートに発展させる

砂原小学校では、プロジェクト学習(PBL)をベースとして、実社会や実生活の課題を取り上げ、その課題を解決していく探究的な学びを展開しています。
そして、そのPBLから発展させる形で、教科等横断の視点や新たなテクノロジーを取り入れて、新たな価値の創造をめざす学びのSTEAM化を進めています。
article_00055_04.png図3:PBLからSTEAM化されたまなびへ

砂原小の子供たちの様子を参観していると、以下のような場面によく遭遇します。
子供たちの活動がそれぞれ異なっていて、同じ活動を全員で進めている場面を見ることがほとんどありません。
これは、個別最適な学びにつながる学びの様子です。
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図4:学習活動がそれぞれ異なる様子

下の写真は、新たなテクノロジーとして、ドローンや3Dプリンタを子供たちが活用している様子です。これらの活動は、子供たち自身が自らの探究課題に合わせて、必要に応じてドローンや3Dプリンタを活用した活動を考えています。
単に新しいものに触れたいということではなく、自分たちの課題を解決するための試作を行い、最終ゴールで提案することを目指して活動しています。
article_00055_06.png図5:ドローンをテスト飛行させて、飛行コースを検討する場面
article_00055_07.png図6:3Dプリンタを用いて作品を制作する様子

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