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寄稿コラム

2024.09.18

Next GIGA→Beyond GIGA〜教育DXへ Vol.3 失敗から逆算する「GIGA第2期成功のポイント」

失敗から逆算する「GIGA第2期成功のポイント」ダウンロード資料

教育ICT専門のコンサルタントとして学校や教育委員会のICT活用などをサポートする傍らで、子ども専門のICTスクールを運営されている株式会社NEL&M 田中 康平氏に「失敗から逆算する『GIGA第2期成功のポイント』」をご寄稿いただきました。 本コラムの理解をより深めることが出来る資料をこちらからダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。

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目次

令和2年度から急速に進められた「GIGAスクール構想」の第1期では、全ての小中学校生に11台のPCを提供し、学校内の高速インターネット環境を整備するという大きな目標を達成しました。(1)
これにより、学習用PCを活用した教育が学校内外で展開できるようになりましたが、同時にトラブルや失敗(このコラムではあえてそう表現します)も発生しています。

今回は、GIGAスクール構想に関連する失敗事例を共有し、今後の改善に役立てるためのヒントを提案します。

1. ネットワークやPC環境の整備・運用管理の失敗

● 校内ネットワーク・インターネットの不安定さ

多くの学校でネットワークの不安定さが問題となっています。令和64月に公表された文部科学省の調査資料(2)によると、「1校当たりの帯域の目安(当面の推奨帯域)を満たす学校は2割程度にとどまる」とされています。
このような環境では、学習用PCの利用に支障をきたし、児童生徒の学習意欲の低下につながる可能性があります。

ネットワーク環境の改善のために、「学校のネットワーク改善ガイドブック」(3)の配布や予算支援が行われていますが、案外見落とされているものとして「校内ネットワーク整備に関する完成図書の不備」が挙げられます。
これは、機器一覧やネットワーク設計書など、運用管理に必要な情報が欠如していることを指します。

改善のポイント
・「完成図書」の提出を仕様書に明示し、作成を義務付ける。
・改修や設定変更の情報を記録し、完成図書と共に管理する。

これにより、
学校内のネットワーク機器や配線の経路などを完全に把握できない。
設定内容が記録されておらず、当時の導入事業者へ聞いたり、都度確認が必要。
完成図書ベースの引き継ぎがなく、新たな担当者も手探りになる。
といった課題の解消が期待できるでしょう。

「完成図書」の作成を義務付ける仕様例について、ダウンロード資料を準備していますので、こちらもご活用ください。

2. 授業中の利用に関する失敗

● 共有範囲や権限設定のミス

授業で使用する教材をクラウド上で共有する際、設定ミスにより意図しない範囲にファイルが閲覧可能になることがあります。
反対に、必要な権限がないためにファイルにアクセスできないこともあります。

改善のポイント
・異動してきた教員向けに操作マニュアルを配布する。
・日常的にファイル共有やクラスルームツールを活用し、操作に慣れるようにする。

● データの改竄(書き換え)

クラウド上で共有されたファイルの内容が意図せず変更されることがあります。これは授業の進行に支障をきたすだけでなく、情報セキュリティの観点からも問題です。

改善のポイント
・編集履歴の活用と、ファイルのPDF変換による保護。
・誤操作を元に戻す方法を教える機会を設ける。

PDFに変換する操作や、「元に戻す」操作を、体験的に学ぶ機会を設けましょう。

● ファイル管理の不備

授業で作成したファイルがどこに保存されているかわからない、または最新のファイルがどれかわからないといった声が聞かれます。

改善のポイント
・ファイル名に作成年月日を含めるなど、ファイルの命名規則を決めて指導する。
・ファイル名には無効な文字を使用しないよう注意する。

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ファイル名の命名規則例や書き方のポイント
をダウンロード資料にまとめていますので、ご活用ください。
また、クラウドツールにより、ファイル名に利用できない「無効な文字」の制限がありますので注意が必要です。(4

3. 情報セキュリティに関する失敗

● 著作権侵害とランサムウェア感染

インターネットから無断で画像を使用し、著作権侵害で損害賠償を請求される事例や、ランサムウェアによりデータが暗号化される事件も発生しています。
これらは情報セキュリティの重大な問題です。

改善のポイント
・教育情報セキュリティポリシーの不断の見直しと、研修を継続する。
・困った時に(気軽に)相談できる窓口を設置し、迅速な対応を促す。

まずは「教育情報セキュリティポリシー」が実情に沿った形で整備されていることが大切です。
その上で、著作権の対応も含めて研修を重ね、確かな理解と適切な対応の基盤をつくりましょう。
併せて、報告の遅れが被害や損害の拡大につながらないように、相談しやすい文化を醸成していきましょう。

まとめ

GIGAスクール構想の導入により、多くのメリットが教育現場にもたらされましたが、同時に様々なトラブルも発生しています。失敗事例から学び、改善策を講じることで、より効果的で安全な学習環境を維持していくことが求められます。教育委員会や教員、そして教育関連企業が協力してこれらの課題に取り組むことで、未来の教育がより良いものになることを期待しています。失敗に蓋をせず、積極的に学び、改善策を見つけていきましょう。

(1)文部科学省.学校における教育の情報化の実態等に関する調査.2024(参照2024-9-2
(2)文部科学省.学校におけるネットワークの現状について.2024(参照2024-09-02
(3)文部科学省.学校のネットワーク改善ガイドブック.2024(参照2024-09-02
(4)MicrosoftOneDrive SharePoint の制限事項と制約事項.2024(参照2024-09-02

筆者

株式会社NEL&M(ネル・アンド・エム)代表取締役/ICTスクールNEL校長 田中 康平氏

株式会社NEL&M 代表取締役
ICTスクールNEL 佐賀本校 校長
教育情報化コーディネータ 1級(2018年認定 ※国内5人目)


【委員等】
国立教育政策研所「令和4年度全国学力・学習状況調査のCBT化に向けた調査問題の開発・文部科学省CBTシステム(MEXCBT)への搭載およびCBT問題における合理的配慮の在り方に係る調査研究事業」(2022年度)
CBT問題の開発及び実証に関する検討委員・CBT配慮問題の開発に関する検討委員
経済産業省「未来の教室実証事業」教育コーチ(2018~2019年度:麹町中学校担当、2021年度:広島県教育委員会、鹿児島市教育委員会担当)
佐賀県教育委員会 ICT利活用教育推進に関する事業改善検討委員(2015~2019年度)


【カリキュラム開発関連】
・つくば市「つくばSTEAM コンパス」授業カリキュラムおよび教材開発担当(2023年度)
・加賀市「文部科学省 生成 AI パイロット校・生成 AI ファーストカリキュラム開発」( 2023 年度)
・大手旅行会社「観光データを活用した探究学習プログラム」

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