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授業改革

2026.02.25

デジタル学習基盤における学習者主体の学びと教師の支援「自己決定を促す個別最適な学び」

目次

令和の日本型学校教育を実現するために、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させることが求められています。
特に、個別最適な学びについては、これまでの教師主導の一斉学習ではなく、児童生徒一人ひとりに対応した学びをどう展開するのか、研修や授業研究で試行錯誤しながら検討している学校も多いと思います。
個別最適な学びでは、児童生徒が自らの学習の状況を把握し,主体的に学習を調整することができることが期待されています。
その具体的な学習形態として、「自己調整学習」「単元内自由進度学習」「複線型授業」等の学習形態を授業に取り入れて、授業改善に取り組んでいる学校が出てきています。

自己調整学習

探究的な学びのプロセスを持続的に進めるには、児童生徒自らが課題を設定したり、学習成果等を自己評価したりするなどして、自らの学びを見通したり振り返ったりすることが必要となります。まさに、「自己調整」しながら学習を進めることが求められます。
現代社会では、社会の変化が激しく、最適解が1つではない課題解決が日常的であることから、自ら問いを立てて解決しようとすることが求められます。そのためには、常に学び続け、自らをアップデートしていくことが必要です。
これからの時代を生きていく子どもたちに必要な学習スタイルの1つが「自己調整学習」といえます。
自己調整学習は、近年、探究的な学びや主体的な学びを考えていく上で注目されるようになりました。
自己調整学習では、児童生徒自らが学習活動に能動的に関わって、学習を自ら調整するといった学び方を進めます。課題解決の過程において、児童生徒が課題解決を達成するために、探究する内容や方法、学習計画等を自ら立案したり、調整したりして学習を進めていきます。

自己調整学習では、「予見」、「遂行コントロール」、「自己省察」の3つの段階を循環しながら進みます。
「予見」
は、児童生徒自らが状況を把握して、学習の目標を立て、何をするかを考えて計画を立てていきます。探究的な学びでは、課題の「把握・計画」といえます。

「遂行」では、探究課題を分析し、より良く解決するための方法である「課題方略」を進めます。
また、その進み具合を確認していく「認知的モニタリング」と呼ばれる活動が行われます。「遂行」は、探究的な学びの実践レベルといえます。

「自己省察」は、把握・計画での目標、学習計画とその学習状況を確認して、どの程度到達できたかを評価して、より良く改善していきます。探究的な学びでは、「評価・改善」レベルといえます。

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図 自己調整学習のサイクル

さて、自己調整学習においては、児童生徒が「動機づけ」、「学習方略」、「メタ認知」の3つの要素で自らの学習過程に能動的に関与していることとされています。
これら3つの要素について説明していきます。

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図 自己調整学習の3つの要素

①動機づけ

動機づけは、学習への興味や関心を高めることを指しています。
学習の目標を設定したり、学習の計画を立案したりする段階で、児童生徒自らが「自分はここまでできる」という自己効力感を高めたり、教師が児童生徒に「学習したい」と思わせるような働きかけが重要といえます。
この動機づけは、「内発的動機づけ」「外発的動機づけ」に分かれており、他者に依存する「外発的動機づけ」ではなく、児童生徒自身が学習への興味や関心を高める「内発的な動機づけ」が主体的な学びにつながっていきます。

②学習方略
学習方略とは、より効果的に学習を進めるための方法や工夫を指します。
より効果的な学習を進めるための方法は、それぞれ人によって異なります。何度も繰り返して練習した方が良いと感じている人もいますし、その根拠を深く考えながら理解していく人もいます。
自分に合った学習方法を考えて、その学習方法を自分で選んだり変更したりして、自己調整していくことで、より自律的で深い学びを実現できます。
教科等や領域などで学習方法は異なりますし、学習全体の計画、モチベーションの持続の面で工夫する場合もあり、さまざまな学習方略が考えられています。

③メタ認知
メタ認知は、自らの学習がどれくらいうまく進んでいるかをモニタリングしてコントロールすることを指します。
児童生徒が、学習計画を立て、学習状況を自らチェックして、成果や状況を自己評価するなど、メタ認知の機能を通じた自己調整を行います。
さらに、メタ認知では、自らを客観視して分析することで、俯瞰して自分を見つめ直すことともいえます。メタ認知は、モニタリングとコントロールの2つの段階に分けられます。 

モニタリング

・自分自身を客観的に振り返って、自らに関係する課題を明らかにする。
・課題を見つけて、その現状を明確にする。必ずしも問題点や解決すべき課題でなくてもかまわない。
・学習を通して、自らの考え方や知識に気づくことが含まれる。

コントロール

・自らの課題を自覚したり、行動をよりよく改善したりすることを指す。
・モニタリングによって、自分自身を客観的に認識することで、コントロールで改善していくことにつながる。

単元内自由進度学習

文部科学省(2020)の中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の資料では、個別化・個性化教育の代表的な事例として、愛知県東浦町立緒川小学校の取組が紹介されています。
その中では「単元内自由進度学習」という個別化された学習をカリキュラムに位置づけていたことが示されています。ここで紹介されている「単元内自由進度学習」では、2つの特徴が取り上げられています。

1つ目は、複数教科同時進行で実施されることです。
例えば、2教科2単元の学習内容と時数が児童生徒に委ねられ、学習計画に基づいて、児童生徒が学習を進めるというものです。
現在、1つの教科・単元で行っている、「自由進度学習」と銘打ったものとは異なることがわかります。また、「単元内自由進度学習」を、単元の中で実施する学習としている地域や学校がありますが、上記で説明した学習方法と異なるものです。

2つ目は、児童生徒の実態や状況に配慮して、「学習の手引き」が複数準備されている点です。
個々の状況に対応した内容や計画を教師が事前に準備して、児童生徒に選択や決定を委ねるというものです。
小学校の実践例では、3年生の算数「重さ」と理科「物の重さを比べよう」の単元を組み合わせた学習が展開されています。
このように、2教科2単元以上の学習内容で実施されているが、全国の事例の中には1教科1単元で実施している事例も見られ、単元内を通じて実施することで、「単元内」としているケースも見られます。

複線型授業

複線型授業は、高橋(2022)によって提案された授業形態です。
児童生徒が個々に違うことを前提にして、複数の学び方や学習形態、順序・ペースを教師側が用意して、児童生徒が自己決定しながら進む授業といえます。
特に、1人1台の情報端末とクラウド環境を活かして、他者参照や途中参照などを通して、自己決定を支えるようにします。複線型授業では、共有ドキュメントの白紙共有(まず枠を共有する)から、途中参照(進捗を見合う)、他者参照(お手本・工夫を吸収)といった学び合いが自然発生していきます。

従来の児童生徒全員が同じ活動や順序で進む「単線型」の授業から、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に実現する授業スタイルへ移行するイメージです。
単線型の授業では、教師の指示によって、児童生徒全員が同じ順序・同じ活動を一斉に行います。情報端末等のICTを活用したとしても、単線型の授業では、個別最適な学びにはつながりにくいと言えます。 

参考文献
ベネッセ教育総合研究所(2014)第59回 学び方の工夫で家庭環境による格差を縮められるのか -「小中学生の学びに関する実態調査」の結果から-.
https://benesse.jp/berd/shotouchutou/opinion/index_4355.html

伊藤崇達(2014)めあての提示や振り返りの工夫で、子どもが自ら学ぶ力を育む.
https://view-next.benesse.jp/view_section/bkn-board/article03405/

文部科学省(2020)中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会(第118回)資料.
https://www.mext.go.jp/content/20200727-mxt_kyoiku01-000008845_2.pdf

文部科学省(2021)「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと協働的な学びの実現~(答申).
https://www.mext.go.jp/content/20210126-mxt_syoto02-000012321_2-4.pdf

文部科学省(2024)中央教育審議会初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問).
https://www.mext.go.jp/content/20241226-mxt_kyoiku01-000039494_01.pdf

高橋純(2022)1人1台端末を活用した高次な資質・能力の育成のための授業に関する検討.日本教育工学会研究報告集2022-4

山本朋弘(2025)AI時代の個別最適な学びと協働的な学びをつくる教育DX活用ガイド.明治図書出版

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