学校情報化
2026.02.25
デジタル学習基盤における学習者主体の学びと教師の支援 「デジタル学習基盤とは」
目次
デジタル学習基盤とは
学校教育での情報化は進展しており、これまでに整備されたICT環境は、学校教育における重要な学習の基盤となっています。
文部科学省(2025)が示した「デジタル学習基盤」は、1人1台端末やクラウド環境等の情報機器・ネットワーク・ソフトウェアなどの要素で構成される⼀連の学習基盤となります。
今後、個別最適な学びと協働的な学びの⼀体的充実が可能となり、主体的・対話的で深い学びの⼀層の充実に資する学習環境を教師にとっても持続可能な形で実現していく取り組みが進んでいます。
この「デジタル学習基盤」は、これまでの取り組みと方向性を異にするものではなく、これまでの土台の上に、ICTの特性・強みをもって、学習活動における児童生徒の環境をより豊かにし、また、すべての児童生徒にその環境をより容易に提供できるものです。
具体的には、以下の7点が挙げられています。
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①児童⽣徒の端末 |
児童生徒の1人1台の情報端末と無線LANを前提に、情報端末をノートや鉛筆と同様に、学習の「マストアイテム」として、授業の中で日常的に活用します。
教材やツールへの共通した入口である「学習eポータル」や、オンラインで小テストやドリルを配信できるCBT(Computer Based Testing)システムが必要となります。
また、公的な学習・テスト基盤(MEXCBT)も活用します。
デジタル教科書・教材の活用
デジタル教科書・教材、児童生徒のスタディログ等の教育データを活用しながら、自分のペースで学びを進めつつ、友だちと意見を比べたり助け合ったりする協働の学びも深まっていきます。
デジタル教科書においては、令和元年度から教科書代替教材として学習者用デジタル教科書が制度化されています。さらに、紙の教科書との併用を前提とした上で、令和6年度から段階的な導入が推進されています。小学校5年生から中学校3年生を対象として「英語」、その次に現場のニーズが高い「算数・数学」を段階的に導入されています。
令和6年度には、すべての小中学校等に英語のデジタル教科書が提供されるとともに、約55%の小中学校等に算数・数学のデジタル教科書が提供されました。
文部科学省の調査では、学習者用デジタル教科書の活用頻度は向上しています。しかし、4回に1回未満との回答が約半数であり、十分な活用状況ではありません。今後、デジタル教科書のさらなる活用を促進していく取り組みが求められています。
下の写真は、築上町立築城小学校で算数のデジタル教科書内のコンテンツを活用して、グラフを作成している様子です。
当然、手書きでグラフを描く活動も行っていますが、同様に、デジタルでグラフを作成することも今後必要となってくるでしょう。
学習eポータルとは
児童生徒が学習の計画を立てたり、学習課題に沿って調べたりする活動において、どこから始めたらよいか迷うことがあります。
そこで、活動に沿って的確な情報が提供されることで、より質の高い学習を進めることができます。学習eポータルは、児童生徒が学習を進める際に、どこからスタートするかを示してくれる「羅針盤」的な役割を果たしてくれます。
写真は、熊本県高森町で構築しているポータルサイトです。どの児童生徒も、情報端末を起動すると、この画面からスタートします。ボタン等で整理されていますから、どの活動に対して、どのコンテンツを活用すれば良いかが一目瞭然となります。
CBTシステムとは
CBTは、Computer Based Testingの略語で、国際的な学力調査においてCBT化が進んでいます。PISA(OECD生徒の学習到達度調査)は2015年からCBTに移行しています。
また、アメリカやフランス、スウェーデンなど、海外においても、CBT形式での学力調査が実施されています。このような国際学力調査のCBT化やGIGAスクール構想の推進等の流れも踏まえて、文部科学省は全国学力・学習状況調査のCBT化を推進しており、令和3年度から試行・検証を開始しています。
MEXCBT(メクビット)は、国や地方自治体等の公的機関等が作成した問題を活用し、オンライン上で学習やアセスメントができる公的CBTプラットフォームです。
文部科学省CBTシステムの開発・展開を進めており、授業や家庭学習等をはじめ、全国学力・学習状況調査や地方自治体独自の学力調査等、幅広い用途での活用が推進されています。
デジタル学習基盤と学校生活
デジタル学習基盤を活用した学校の一日を例に見ていくと、登校後に児童生徒は、学習eポータルにログインします。そして、今日使う資料や課題が画面上で確認できます。
授業の中では、デジタル教科書やデジタル教材等を用い、要点を確認し、必要に応じて読み上げや拡大機能を使い、各自に合った方法で学習を進めていきます。
学習が進んだ段階で、CBTシステムの小テストを活用して、学習の成果を確認できます。理解が進んでいる児童生徒は発展課題へ、つまずきがある児童生徒は復習へと学習の進度や学び方を切り替えられます。
学習の成果等を学習履歴として記録するだけでなく、児童生徒が振り返りを記入し、その記録は次時のグループ分けや課題設計に活用されます。
家庭でも同じ入口から課題にアクセスできるので、学校と家庭の学びがシームレスにつながります。このように、デジタル学習基盤が充実することで、児童生徒の主体的・対話的で深い学びの実現につながっていくと考えられます。
また、自律的な学びに伴走する教師にとっても、指導や支援が進めやすい環境が整っていきます。
しかし、環境面や運用面の両面から、さらなる向上が期待されています。
例えば、ネットワークにおいては、同時にすべての授業で、児童生徒が高い頻度で端末を活用する場合でも、十分な接続速度が確保でき、支障がほとんど生じない水準であることが求められています。これまでの調査結果では、十分な推奨帯域を満たす学校は2割程度であることが報告されています。
参考文献
デジタル学習基盤特別委員会(2025)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/093/siryo/mext_02077.htm
文部科学省(2022)文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)について.
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/mext_00001.html