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寄稿コラム

2022.09.13

「児童生徒のICT活用学習力」を支えるICT汎用スキル1~タイピングスキル~

「児童生徒のICT活用学習力」を支えるICT汎用スキル_1 ~タイピングスキル~

今回は「ICT汎用スキル」 の中から「ホームポジションによるタイピングスキルの習得」を取り出し、具体的な方法(習得 方法や、ソフトウェアの選定、留意点など)を提案します。

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目次

前回のコラム記事(※1)では、子どもたちの学びを多様化しながら、より高次の認知を働かせ、豊かな資質・能力を育む学習活動を充実させるための「児童生徒のICT活用学習力」というキーワードと、その骨格案、ICT汎用スキル例について整理してみました。今回は「ICT汎用スキル」の中から「ホームポジションによるタイピングスキルの習得」を取り出し、具体的な方法(習得方法や、ソフトウェアの選定、留意点など)を提案します。

何よりも大切なホームポジションでのタイピングスキル

GIGAスクール構想により整備された学習者用コンピュータの活用を推進する中で、「タイピングスキル」の重要性や、その取り組み方法、習得のためのソフトウェア、などに関する話題を目にする機会が増えてきました。運動で言う「正しい走り方」のように、コンピュータを扱う上で土台となる、地味ですが大切なスキルですね。ただ、少し心配な面も散見されています。それは「ホームポジション」の意識です。

タイピングの練習風景などを撮影した動画コンテンツを見るとき、つい子どもたちの「運指」に目がいくのですが、気がかりなのは「バラバラな運指」です。「ホームポジション」が全く意識されていない様子が伝わってきます。正しい走り方を学ばずに我流で走るからタイムは期待できそうにない、という感じでしょうか。

「そんな細かいところより、キーボードに慣れ親しむことで、それなりに打てるようになるから大丈夫」

と思っている方がいたら、大間違いです。
あなたは「それなりに打てる」かもしれませんが、速く打ってもミスタイプしてませんか? 大人の物差しではなく、今すぐ考えを改めましょう。

『ホームポジション』がもたらす2つの大きなメリット

我流のタイピングに比べて「ホームポジション」を意識した練習には2つの大きなメリットがあります。

  • アルファベットやローマ字が読めなくても、指の運動的な面から習得ができる。
    →低学年から練習が可能。
    →長期記憶の中の「手続き記憶」として、生涯活用できるスキルが身に付く。
  • ミスタイプが格段に減り、文字入力の正確性と速度が向上する。
    →手書きの数倍の速さで文字を入力することができる。(我流ではミスタイプが減り難い。)

筆者が運営している「子ども専門のICTスクール」では、小学1年生からホームポジションでのタイピング練習を始めています。週に1回10分程度ですが、継続することで素晴らしいスキルが身についていきます。

その成果を測る機会として「毎日パソコン入力コンクール」(※2)に参加している小学4~6年生の児童の「1分あたりの入力文字数」に関するデータを整理してみました。(図1)

article_00034_02.png

図1 筆者作

小学4~6年生の「1分あたりの入力文字数(cpm)」の

最大値「156.2 cpm」
平均値「104.5 cpm」
最小値でも「61.6 cpm」

と、全員が1秒1文字の入力速度を超えています。

因みに「毎日パソコン入力コンクール」の公式HPに記載されている「入力速度の目安」は
40cpm・・・手書き文字とほぼ同等の速さの実用レベル
60cpm・・・社会で通用する実務レベル
80cpm・・・高校卒業時に身につけて欲しい手書きの約2倍の速さの毎パソ目標レベル
120cpm・・・手書き文字の約3倍の速さの習熟レベル
とされています。

今回の対象児童は「ホームポジションでのタイピングスキル」を習得しています。それにより、全員40cpmの実用レベル以上、多くの児童が80cpmの高校卒業&手書きの約2倍レベルを超えています。120cpm、手書きの約3倍レベルを超える児童も多数存在しています。これは特別なケースではありません。他と異なるのは「ホームポジションを習得している」この1点だけなのです。

『ホームポジションでのタイピングスキル』を習得する方法

まず「ホームポジション」に指を構えるために、次のように進めてみてください。

  1. キーボードを見ずに、その上に指を置きます。(目を瞑ってもOK)

  2. 「突起」があるキーが2つだけ存在しています。これを指で探り当てます。

  3. 右手人差し指を「J」、左手人差し指を「F」(※「突起」があるキー)に乗せ、隣のキーから指を一本づつ置きます。

これが「ホームポジション」です。

練習を進めるポイントは次のとおりです。

  • 「F」「J」の上下の列にあるキーを押した場合は、必ず「ホームポジション」に指を戻す。
  • 「ホームポジション」の練習ができる「ソフトウェア」を利用する。
  • 他の子との競争はさせない。(点数や時間の競争などは行わない。運指が雑になります。)
  • 練習の結果(入力文字数や不正解数など)を記録する。(ノートに手書きする。)
  • 前回の練習から、1文字でも増えたり、正確性が上がればOK。(小さな成長を褒める。)

「ホームポジション」が身に付くまでは速さを求める必要は一切ありません。「正確性が第一」です。

『ホームポジション』の習得に適したソフトウェアを選ぶ

タイピングを練習するソフトウェアには、

  • ホームポジションの練習が充実している
  • ホームポジションの練習メニューはあるが少ない
  • ローマ字入力から始まる
  • ランキングや得点を競う
  • ゲーム感覚で取り組むことができる

など様々なタイプがあり、それぞれの良さもあります。

どのようなソフトを選ぶのかは習得状況に左右されますが、選び方を間違えると運指がバラバラ、我流の域を脱出できなくなりますので注意が必要です。

今回、タイピング練習ソフトの「マトリクス図」を作成しました。ソフト選定の参考としてください。(ダウンロードしてご活用ください。様々な見方はあると思いますが、筆者の経験から整理した情報であることをご了承ください。)

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タイピングソフトのマトリクス図 筆者作

「ホームポジションを意識した練習を始めさせたい!」
「低学年から練習させたい!」

という場合は、「マトリクス図」の右上に配置されたソフトウェアを検討してみましょう。
「ホームポジション」の習得ができ、ローマ字入力の速度も向上してきたら「マトリクス図」 の左下に配置されたソフトにチャレンジして良いと思います。
ソフトには無料のもの、有料のもの、ログインアカウントが必要なもの、などがありますので、実情に合わせて選んでください。

その他のツールとして「キーボード配列およびホームポジションシート」(PDFファイル)も用意しました。(ダウンロードご活用ください。)特に初期の頃は、このシートを確認しながら「ホームポジション」を意識して練習を進めてもらえると良いと思います。また、アルファベットの読みやローマ字入力の場面でも、このシートを見て確認しながら取り組んでみると良いと思います。

タイピングスキルの育成における留意点

最後に、練習時の留意点についてお伝えしておきます。認知的な特性を持っている児童にとって、タイピングの練習を難しく感じたり、苦手意識を募らせてしまう場合がありますが、次の点に留意することで、困難さが軽減されたり、時間がかかっても習得できるようになります。

  • 音が気になる場合は、音が出ないソフトを選ぶ。または、音が出ない設定を行う。
    →焦りや、集中力の散漫につながる場合があります。
    焦り感が強い場合は、タイムトライアル系も避けた方が良いでしょう。

  • 一度に長時間、よりも、短い時間の練習を継続する。
    →練習の回数や、時間(5分、10分など)を決めて、無理なく取り組むことが大切です。
    週に1回でもスキルアップできます。

  • 伸び悩む時期があることを、周囲の大人が理解しておく。
    →順調に伸びる時期もあれば、停滞する時期もあります。停滞している時には、無理せずに練習を休むことや、回数や時間を短くするような声かけを行ってください。

タイピングスキルは、認知の特性や能力の違いで、習得の早さが大きく異なります。早い子と比べたり競ったりせず、その子のペースで成長できるようにサポートしてください。

「ホームポジションでのタイピングスキルの習得」のメリット、効果・成果、練習方法、ソフトの選定、などについてご理解いただけたのではないでしょうか。

×「そんな細かいところより、キーボードに慣れ親しむことで、それなりに打てるようになるから大丈夫」
○「ホームポジションを丁寧に練習して、手書きの2倍、3倍の速さで打てるようになろう!」

という考えに変わっていたら、とても嬉しいです。

ぜひ、子どもたちの「ホームポジション」を意識した練習をサポートしてください。その結果、日本中で大人のタイピングスキルを凌駕する子どもが増えることを願っています。(それが、DXの基盤かもしれません。)

※1 「GIGA2年目以降のキーワード『児童生徒のICT活用学習力』」RICOH学びの共創室「寄稿 コラム」

※2 「毎日パソコン入力コンクール」

筆者

株式会社NEL&M(ネル・アンド・エム) 代表取締役/ICTスクールNEL 校長 田中 康平 氏

・教育情報化コーディネータ 1級(2018年認定 ※国内5人目)
【委員等】
・国立教育政策研究所「全国学力・学習状況調査のCBT化に向けた試行・検証のためのCBT問題開発に係る調査研究検討委員」(2021年度)
・経済産業省「未来の教室実証事業」教育コーチ(2018~2019年度:麹町中学校担当)
・佐賀県教育委員会 ICT利活用教育推進に関する事業改善検討委員(2015~2019年度)

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