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寄稿コラム

2022.08.31

GIGA2年目以降のキーワード「児童生徒のICT活用学習力」

GIGA2年目以降のキーワード「児童生徒のICT活用学習力」

今回のコラムでは、学習者の視点から「児童生徒のICT活用学習力」というキーワードを提案します。

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目次

GIGAスクール構想によって実現した、1人1台の学習者用コンピュータに代表される学習環境。
当然、これまでの黒板、ノート、鉛筆、とは異なる「新たな学び」を創出するために機能するものです。GIGAスクール時代が幕を開けてからよく耳にするのは「教員のICT活用指導力の向上」と、それを目指した研修やサポートに関する話題ですが、
「少し視点を変えてみることも大切なのではないか?」
と考えています。
今回のコラムでは、学習者の視点から「児童生徒のICT活用学習力」というキーワードを提案します。

学習環境へのテクノロジーの導入

GIGAスクール構想は、ICT機器の整備が目的ではなく、新学習指導要領で掲げられた資質・能力の育成(※1)と、「主体的・対話的で深い学び」に向かう授業改善を加速するための施策です。
新学習指導要領は、「構成主義」(※2)を前提とした考え方が色濃く反映されています。

GIGAスクール構想で整備されたICT機器等を「構成主義に基づく学習環境」と捉えるならば、児童生徒が主体性を発揮し、友達や先生と共に学び育ち合いながら思考を深め、自らの資質・能力を形成しようとする様々な活動を支援する環境と言えそうです。
また、学習者用コンピュータなどのテクノロジーを導入することで、
「教える側、学ぶ側ともその枠組みが変化する」(※3)ことも求められています。

このような前提を共有できるならば、GIGAスクール構想による学習環境を活用した授業実践を行うためには、「教員のICT活用指導力」(※4)の向上として従来の授業の枠組みを発展させるよりも、新たな授業の枠組みを創造する意識が大切となるでしょう。
同時に、児童生徒には「ICT 活用学習力」と呼ぶべき資質・能力の育成が不可欠であるとも考えられます。

しかしながら、筆者の経験上、GIGAスクール構想に関連する教員研修に呼ばれることはあっても、児童生徒がICTを活用する方法を習得する機会に関する相談は稀です。

児童生徒のICTスキル育成のカリキュラム

筆者は、教育ICT専門のコンサルタントとして学校や教育委員会のICT活用などをサポートする傍らで、子ども専門のICTスクールを運営しています。
「児童生徒のICT活用学習力」と呼べそうな、子どもたちに必要なICTの汎用的なスキルの習得や、それらを活用した表現や創作活動による高次の学習活動のための資質・能力の育成に、8年前から取り組んでいます。

独自のカリキュラムを開発するために、例えば「情報活用能力育成モデルカリキュラム」(※5)や、オーストラリアのナショナルカリキュラムにおける「ICT汎用的能力」(※6)などを参考にしています。
学校で「児童生徒のICT活用学習力」と呼べるような資質・能力を育成するために、こうした情報を基に提案した経験もありますが、精緻な枠組みであるほど、習得にかける時間の捻出や、指導者側のスキルなどの課題に直面し、思うようには進みませんでした。
こうした実情も踏まえ、学校の授業の中で日常的に意識をしながら取り組めるようなミニマムな枠組みとして「児童生徒のICT活用学習力」の「骨格(案)」について示してみたいと思います。

「読み・書き・計算」→「読解力・タイピングスキル・コンピュータ」

ICTが導入される前の時代の「児童生徒の学(習)力」の基盤は「読み・書き・計算」と言われてきましたが、令和の時代はこれだけで捉えられる状況ではなくなりました。
1人1台の学習者用コンピュータの活用を前提とする時代の学習力の基盤として、筆者は「読解力・タイピングスキル・コンピュータ」と表現しています。この3つを「児童生徒のICT活用学習力」の「骨格(案)」として整理した図です。

資料ダウンロードフォームから「児童生徒のICT活用学習力」の骨格(案)の資料ダウンロードができます。

前述の内容を表した図

「読み」は「読解力」へ

PISA型読解力と定義して良さそうです。そうすることで、言語能力だけではなく、情報活用能力も含むことができます。

「書き」は「タイピングスキル」へ

ここで大切なのは、我流で習得せずに「ホームポジション」を大切にして、正確かつ手書きよりも高速な入力スキルを習得することです。
タイピングスキルは、GIGAスクール時代の学習活動に大きく影響します。正確に速くタイプできる子が増えた時、学習活動の凄まじい加速感に驚くことでしょう。

「計算」は「コンピュータ」へ

アナログな計算では困難な、複雑で高度な計算処理を実行したり、複数の情報を活用して情報デザインによる表現を試みたり、情報通信ネットワークを有効活用したり、その他にもコンピュータでなければ実現できないことを、児童生徒が様々な場面で学習に生かすことが求められています。

この「骨格(案)」から、小学校段階で習得したいICT汎用スキルの例をまとめた表です。

資料ダウンロードフォームから「児童生徒のICT活用学習力」の骨格(案)における、ICT汎用スキル例の資料ダウンロードができます。

前述の内容を表した表

昨年の寄稿コラム「学習を加速させるために~みんなで習得したいICTスキル~」(※7)と併せて読んでいただけると、習得方法がイメージしやすいと思います。

こうしたICT汎用スキルは、多くの先生にとっては既に習得している基礎的な部分だろうと思います。特別なソフトやツールは必要ありません。一般的なPC操作スキルが基盤となっています。
ただし、ホームポジションでのタイピングの習得は、ソフトの選定や子どもたちの支援方法が大切になります。

各教科の学習活動と照らしてみると、「児童生徒のICT活用学習力」を発揮できる場面が幾つも見つかるのではないでしょうか。
「骨格(案)」というミニマムな枠組みですので、特に必要と考えられるスキルを集めたものですが、教卓や黒板に1枚貼っておいて、日々の授業で少し意識するだけでも、かなりの部分を習得できるだろうと思いますし、子どもたちも意識ながら自分の ICT汎用スキルをチェックすることもできるでしょう。
そうした取り組みによって「児童生徒のICT活用学習力」が着実に育まれていく学級や学校が増えていくことを期待しています。

常に『学習者が主体的に学ぶための学習環境』という視点を大切に

教員がICTを活用して効率よく児童生徒の状況を把握したり、効率よく情報を伝達したり、成果物を収集したりすることも大切な場面があるとは思いますが、それ以上に、
「子どもたちの学びを多様化し、学習過程を充実させ、主体的に高次の認知を働かせながら豊かな資質・能力を育むための学習環境として機能しているか?」
「子どもたちが主体的に、ICTツールや学び方や表現方法を選択しているか?」
「より良い学習のためのICTスキルが育まれていたり、発揮されたりしているのか?」
という視点を持ち続けながら、これらを生かした新たな授業を探究してみてください。

※1 「新学習指導要領とコンピュータのある学び ~様々な教科の学びに散りばめられた、コンピュータの活用と情報活用能力の育成~」RICOH学びの共創室「寄稿コラム」
※2 構成主義:学習を他者や環境との相互作用を通して自発的に知識を構成する行為と考え、学習者を能動的な存在と捉えること。「教育評価重要用語辞典」(西岡加名恵・石井英真 編著)より
※3 「構成主義パラダイムと学習環境デザイン」より(久保田賢一 著)
※4 「教員のICT活用指導力チェックリスト」平成30年6月改訂 文部科学省
※5 「情報活用能力育成モデルカリキュラム」 特定非営利活動法人 情報ネットワーク教育活用研究協議会・ICTプロフィシエンシー検定協会
※6 「Information and Communication Technology (ICT) Capability (Version 8.4)」 Australian Curriculum
※7 「学習を加速させるために~みんなで習得したいICTスキル~」RICOH学びの共創室「寄稿コラム」

※本資料に掲載のその他の会社名および製品名、ロゴマークは各社の商号、商標または登録商標です。

筆者

株式会社NEL&M(ネル・アンド・エム) 代表取締役/ICTスクールNEL 校長 田中 康平 氏

・教育情報化コーディネータ 1級(2018年認定 ※国内5人目)
【委員等】
・国立教育政策研究所「全国学力・学習状況調査のCBT化に向けた試行・検証のためのCBT問題開発に係る調査研究検討委員」(2021年度)
・経済産業省「未来の教室実証事業」教育コーチ(2018~2019年度:麹町中学校担当)
・佐賀県教育委員会 ICT利活用教育推進に関する事業改善検討委員(2015~2019年度)

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