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寄稿コラム

2024.01.09

Beyond GIGA〜教育DXへ Vol.3 教育DXのための「児童生徒のICTリテラシー」

教育DXのための「児童生徒のICTリテラシー」

GIGAスクール構想による学びを加速・発展させるために不可欠な「児童生徒のICTリテラシー」。手軽に活用できる児童生徒のICTリテラシーチェックリストをダウンロード頂けます。

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目次

今回のテーマはGIGAスクール構想による学びを加速・発展させるために不可欠な「児童生徒のICTリテラシー」です。
1
1台の学習者用端末の活用が始まり23年が経過しました。
この間に「教員のICT活用指導力の向上」や、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の充実などの話題を耳にすることは増えましたが、「児童生徒のICTリテラシー」について体系的・計画的に取り組むような話は前者に比べて少ないものでした。
どの学年でどのようなICTリテラシーの習得が望ましいのか、また今後必要になるであろう「生成AIの活用に関連するICTリテラシー」について、筆者の経験等をもとに提案します。

「児童生徒のICTリテラシー」の現状

令和412月に文部科学省が実施した「情報活用能力調査(※1)」では、以下の学校・児童生徒数を対象に、情報活用能力の育成に関する問題をCBT方式出題し、回答させています。

[対象の学校・児童生徒数]
○小学校(5年生)  161校、4,486人の児童
○中学校(2年生)  162校、4,846人の生徒
○高等学校(2年生) 156校、4,887人の生徒(いずれも有効学校数、有効児童生徒数)
[想定される学習内容(調査問題)]
○基本的な操作等
キーボード入力やインターネット上の情報の閲覧など、基本的な操作の取得に関するもの等
○問題解決・ 探究における情報活用
問題を解決するために必要な情報を集め、その情報を整理・分析し、解決への見通しをもつことができる等、問題解決・探究における情報活用に関するもの等
○プログラミング
単純な繰り返しを含んだプログラムの作成(育成する場面)や問題解決のためにどのような情報を、どのような時に、どれだけ必要とし、どのように処理するかといった道筋を立て、実践しようとするもの等
○情報モラル・ 情報セキュリティ
SNS、ブログ等、相互通信を伴う情報手段に関する知識及び技能を身に付けるもの(育成する場面)や情報を多角的・多面的に捉えたり、複数の情報を基に自分の考えを深めたりするもの等

この結果からは、いくつかの特徴が指摘されています。

・約3割の小学5年生は、階層化された情報の理解や情報処理の手順などができないと考えられる。
・約3割の中学2年生は、ファイル保存や情報の図表化、コンピュータウイルスの原因理解などができないと考えられる。
・約3割の高校2年生は、アプリケーションの選択や情報整理、著作権の理解などができないと考えられる。
・文字入力課題(1分間あたりの平均文字入力数)
小学5年生:15.8文字、中学2年生:23.0文字、高校2年生:28.4文字

※その他の詳しい結果については、ぜひ文部科学省の資料(※1)をお読みください。

私はこの結果を見て、児童生徒のICTリテラシーが不十分であることに驚きました。
同時にGIGAスクール構想において早急に解決すべき重要課題の一つだと確信しました。

「児童生徒のICTリテラシーチェックリスト」

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児童生徒のICTリテラシーチェックリストより(筆者作)
筆者は、小学生~中学生を対象としたICTスクールを運営しています。
その中で学年に応じて習得させているICTリテラシーをベースに、前述の現状の改善に役立てていただくための「チェックリスト」を作成しました。
教育委員会などで独自に整理して活用されている「情報活用能力体系表」などもありますが、より「ICTスキル」にフォーカスさせ、チェック項目を10個程度にすることで、手軽に活用できる内容としました。
子どもたち自身でもチェックでき、自分のスキル習得の状況を把握したり、次の目標設定に役立てるなどしながら、スキルアップを促進することにも繋げやすいと思います。
チェックボックスを加えたExcelファイル版とPDF版を用意していますので、ダウンロードしてご活用ください。(ダウンロードはこちら)
各スキルの習得や指導方法、それに役立つ資料については、過去のコラムにも掲載していますので、参考にしてみてください。(※2※3※4、※5)

「生成AI時代の児童生徒のICTリテラシー」の提案

上記のチェックリストに挙げているスキルは、GIGA端末を活用するための基盤となるものです。
小学校~中学校の間に意識的に習得の機会を設け、その状況を把握して改善できれば、各教科の授業でも多様なアウトプットを効率よく行うことができるようになると思います。
その上で、さらに考える必要がでてくるのは「生成AIの教育利用」です。
文部科学省のリーディングDXスクール事業で採択されている「生成AIパイロット校」では既に児童生徒が生成AIを活用する方法がトライアルされています。
私もいくつかの学校で授業設計に関わっているのですが、これまでより一歩進んだICTリテラシーの必要性を実感しています。
その中から2つ提案します。

・マークダウン記法の習得(簡易なもので可)
# 見出し(#の数で見出しサイズを変える。:#大見出し、##中見出し、###小見出し 等)
-リスト(先頭にハイフンやアスタリスクをつけることで箇条書きリストを作成する。)
1.番号付きリスト(1.などの番号とピリオドをつけることで番号付きリストを作成する。)

これらの文頭記号を用いたマークダウン記法による文章は、生成AIを活用する上でも具体的で構造的なプロンプトを書く基本スキルとして役立ちます。

ファクトチェックの手順の理解
情報源を確認する。(サイト名、運営・発信者、など)
ドメインの種類を確認する。(lg.jp:地方自治体、ac.jp:大学関連、など。)
情報の発信公開日から有効性を判断する。
複数の情報を比較する。(公的機関や研究機関など信頼性が高い組織の情報と比較する。)
他のメディア、当事者の談話なども調査してみる。

生成AIを有効活用するためには、出力される情報の信頼度を評価しようとする姿勢が不可欠です。
基本的なファクトチェックの手順を理解し、実行した経験によって育まれる部分ですので、生成AIの活用を始める段階、主に中学・高校の生徒が習得できる機会を提供できると良いと思います。

私は、児童生徒が一層高度になっていくデジタル社会で自分らしく活躍していくためには、確かなICTリテラシーの習得と、多様な活用の機会を通して思考力・判断力・表現力を磨くことが不可欠だと考えています。
ICT
ツールの進化とともに必要となるリテラシーも変化しますが、基本的な部分を早い段階で身に付けるためにも、日頃から児童生徒のICTリテラシーの習得状況をチェックしながらサポートし、GIGA端末を有効活用した豊かな学びが展開されることを願っています。

1 「情報活用能力調査(令和3年度実施)の結果」文部科学省(2023
2「『児童生徒のICT活用学習力』を支えるICT汎用スキル1~タイピングスキル~」学びの共創室(2022
※3「『児童生徒のICT活用学習力』を支えるICT汎用スキル2~表計算ソフトの活用~」学びの共創室(2022
※4「『児童生徒のICT活用学習力』を支えるICT汎用スキル3 ~スライド作成ソフトの活用~」学びの共創室(2022)
※5「『児童生徒のICT活用学習力』を支えるICT汎用スキル 4 ~カメラ機能のより良い活用方法~」学びの共創室(2022)

※本資料に掲載の会社名および製品名、ロゴマークは各社の商号、商標または登録商標です。
※また、画像・イラスト等のコンテンツの著作権は各社に帰属しております。

筆者

株式会社NEL&M(ネル・アンド・エム)代表取締役/ICTスクールNEL 校長 田中 康平 氏

教育情報化コーディネータ 1級(2018年認定 ※国内5人目)

【委員等】
国立教育政策研所「令和4年度全国学力・学習状況調査のCBT化に向けた調査問題の開発・文部科学省CBTシステム(MEXCBT)への搭載およびCBT問題における合理的配慮の在り方に係る調査研究事業」(2022年度)
CBT問題の開発及び実証に関する検討委員・CBT配慮問題の開発に関する検討委員
経済産業省「未来の教室実証事業」教育コーチ(2018~2019年度:麹町中学校担当、2021年度:広島県教育委員会、鹿児島市教育委員会担当)
佐賀県教育委員会 ICT利活用教育推進に関する事業改善検討委員(2015~2019年度)

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